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更新日 2010-07-13 | 作成日 2007-10-07

月経前症候群とは

月経の前になると、「イライラする」「気分が沈んでしまう」「からだの具合が悪くなる」というような症状は、 女性の約80%の方が経験していると言われています。

このような、排卵から月経開始までの時期に現れる身体的・精神的不快な症状を、月経前症候群(PMS)といいます。

身体的症状
からだの具合が悪くなる
胸が張ってくる
下腹部に痛みを感じる
精神的症状
イライラする
気分が沈んでしまう
怒りっぽくなる
理由もなく悲しくなる

PMSは、排卵のある女性であれば、誰にでも起こり得る症状です。 決して、特別なものではありません。
しかし、症状の度合いによっては日常生活さえも困難になってしまう人もいます。
このように極端に重度の症状が現れるものを月経前不機嫌性障害(PMDD)といい、 PMSの症状を訴える女性のうち、約5%の方は、適切な治療が必要であるとされています。

日本ではまだまだPMSの認知度は低く、症状を自覚していながら、それがPMSのせいだと気付かず、独り悩む女性も少なくはありません。

月経前症候群の治療方法

自分でコントロールが出来ない場合は、適切な治療(対処方法)をした方が自分にも周りの人にもいい事だと思われます。

低用量ピルによるPMS治療

低用量ピルというものがあります。ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンを両方含んだ薬で、ピルを服用すると排卵がストップすることでホルモンのバランスを調節します。その為、月経前症候群独特の症状が出なくなるという事になります。低用量ピルの種類によっても改善効果は異なってきますので、スタッフとご相談ください。当院のアンケート結果からは約8割の方に効果が認められました。

抑うつ薬・抗不安薬によるPMSの精神的症状の改善

当院では抗うつ剤・抗不安薬の処方は行っておりません。抗うつ剤の不適切な服用が原因となる犯罪が問題となっています。安全のためにも精神科専門医による適切な処方が不可欠と考えております。

抗うつ薬
抑うつの症状は、脳の神経伝達物質になんらかの異常が起こっている事が分かっています。そしてこの症状がある場合は、セロトニンという神経伝達物質が少なくなっている状態ですので、抑うつ薬を使うとセロトニンを増やす作用があり効き目があります。抑うつ薬にはSSRI・NNRIという薬がよく用いられており、今までの薬には、便秘や口の渇き、排尿障害などの副作用がありましたが、この二つの薬には、比較的副作用は少なくなっています。産婦人科などで処方される場合もありますが、処方されない場合は、精神科での処方となります。(当院では抗うつ剤の処方は行っておりません。抗うつ剤の不適切な服用が原因となる犯罪が問題となっています。安全のためにも精神科専門医による適切な処方が不可欠と考えております。)
抗不安剤(精神安定剤)
月経前症候群の治療法として、抗不安剤(精神安定剤)を使用する場合があります。抗不安薬は、月経前症候群の症状である不安感やいらいらを軽減させて、緊張をゆるめてくれる薬です。今よく使われるのがベンソジアゼピン系の薬剤が治療の成果と、安全性が高くよく使用されています。抗不安剤の副作用として、口が渇いたり、吐き気、眠気、ふらつき、めまい、頭痛、脱力感、息切れなどがある場合がありますが、医師の指示をしっかりと守り、ちゃんとした処方をすれば大丈夫とされています。抗不安剤の種類も多くあり、きちんとした診察をしてもらい、処方してもらう必要があります。

その他の薬剤でのPMSの治療方法

下腹部痛や腰痛の場合はプロスタグランジン合成阻害薬の非ステロイド系抗炎症薬や鎮痛・解熱剤などを使用
乳房が張って痛いという場合は、ブロモクリプチンという抗プロラクチン作用のあるものを使用
体重が増えて仕方がないという人には水分・塩分制限と必要に応じて少量の利尿剤を使用
月経前症候群にはビタミンB6が欠乏し抑うつ状態になるとも言われていますので、ビタミンB6の投与が有効の場合もあります。

月経前症候群(漢方医学の考え)

五苓散(ゴレイサン)

五苓散(ゴレイサン)は利水剤で、体内の水分の代謝機能を正常な状態に戻す働きがあります。その他、急性胃腸炎、二日酔い、吐き気、尿毒症、糖尿病、めまい、日射病、胃下垂、乗り物酔いなど、幅広く飲む事ができます。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は婦人病や女性の美容剤としてとても有名な漢方ですが、男性にもいろいろな炎症疾患に使われる漢方とされています。生理痛、生理不順、更年期障害、婦人疾患、打ち身、打撲、出血などの炎症などに適用されます、そして、下腹部痛や肩こり、めまい、のぼせ、頭痛、冷え、オ血にも処方されます。

オ血とは、漢方の世界での考え方の事で、正常な血液は、さらさらとしており、体中を駆け巡る血液の事をいいます。しかし、なんらかの原因によって、血液濃度があがり、粘りを増した血液になってしまう場合があります。こうなってしまうと、体全体を綺麗な血が巡らなくなってしまいます。このような状態を「オ血」といわれます。このオ血が発生すると、いろいろな症状が出てきてしまいます。それを改善してくれるのが桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)です。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)

加味逍遙散(カミショウヨウサン)は、虚弱体質、消化器系が弱く、食欲が出ない為、太りたいのに太れないなどという人に効き目があり、オ血による月経異常、のぼせ、冷えに対しても効き目があり、たいていは女性が使う場合が多いです。
虚弱体質で、手足が冷えやすいのに、時々全身が熱くなったり、肩こり、頭痛、眩暈、動悸、不眠などがあり、精神不安、うつ感、精神神経系に異常があり、微熱が続き、月経異常を訴える人に効き目があります。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)を飲み始めて、ヒステリーもなくなり、月経異常も緩和されたという人が多くいます。月経前症候群の全体的な症状にも効き目があり、下腹部痛や、精神的な異常まで幅広く効き目があります。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)には、体をあたためて貧血症状を改善する漢方です。そして、痛みを和らげたり、ホルモンバランスを整える効果もあります。痩せ型で体力のない虚弱体質の人に向く処方で、一般的に女性が用いる事が多い漢方薬です。
体の疲れ、貧血症状、生理不順、生理痛、冷え性、生理前後の不快感、月経前症候群、不妊症、むくみ、めまい、更年期障害、肩こりなど、幅広く処方されます。当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は、主薬の“当帰”と“芍薬”をふくめ六種類の漢方からなります。
当帰と川きゅうには、貧血症状を改善、体をあたためる作用があり、芍薬には、生理痛や肩こりなど、痛みをやわらげる漢方です。他に、利尿作用のある漢方が含まれており、むくみ症状を改善します。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)は、生理不順や便秘などにもちいる漢方で、血行障害やオ血など、女性の月経トラブルや「血」に関する病気の改善に桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)がよく使われます。
血液の循環をよくするほか、不安やイライラをしずめたり、便通をよくしたりする働きがあります。そしてホルモンバランスを整える効果もあり、体力のある人や顔色がよくのぼせ気味の人、下腹部が張って便秘がちの人に向いています。
女性に対しては、生理不順、生理痛、それにともなう不安感やイライラ、腰痛、月経前症候群にも効き目があります。そして月経痛や生理不順を起こす子宮に関する病気にも処方される漢方です。
桃核承気湯は5種類の漢方からなっており、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、桃仁(トウニン)、桂皮(ケイヒ)、甘草(カンゾウ) からなっています。

温経湯(ウンケイトウ)

温経湯(ウンケイトウ)は、血行をよくして、体を温めてくれる漢方です。女性の月経トラブルや月経前症候群に関するトラブル、「血」に関する血流異常を改善する漢方です。
血液の循環を良くし、手先の火照りをとり、体全体をあたためてくれる漢方で、感想した皮膚を潤したり、ホルモンのバランスも整えてくれる幅の広い漢方です。
皮膚や唇がかさつき、冷え性で虚弱体質の方に効果が期待でき、一般的に女性向けのものです。生理不順、整理通、腰痛、頭痛、更年期障害、月経前症候群、冷えのぼせなどに効果があり、また不妊治療にも用いられることがあります。
月経トラブル、女性特有のさまざまな治療に用いられ、体の中の血液や水分の循環をよくし、体をあたためてくれます。

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)は、呼吸困難や、抑うつ気分、情緒不安定などにきき、気分をリラックスさせてくれて、咳や吐き気をおさえてくれる漢方です。
神経、心、体の状態をよくしてくれます。冷え性で繊細な人、心身ともに疲れやすい人が処方すると効き目があります。イライラ、抑うつ、不眠、胃炎、動悸、めまい、喘息、気管支炎などにも効果があり、幅広い効果が期待できます。
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)は5種類の漢方からなり、半夏(ハンゲ)、厚朴(コウボク)、茯苓(ブクリョウ)、蘇葉(ソヨウ)、生姜(ショウキョウ) が配分されており、茯苓には、体の中の水分の循環をよくし、鎮静作用もあるようです。これらが一緒に働く事で、よりよい効果を発揮します。
気血水理論での診察法として「気」とは人間の体の中を巡っている生命エネルギーの事をいい「血」は体内を巡り栄養を与える血液の事を指し示し、「水」を血液以外の体の中の水分の事を言います。「気」「血」「水」の3つのバランスをよくすることが漢方医学の治療の目安となります。