生理痛・月経困難症
不正出血(月経以外の出血が時々、あるいはよくある。)
ホルモン異常による出血
排卵していなかったり(無排卵性出血)、排卵するのに時間がかかってしまう(遅延排卵)場合など、排卵に異常があるとよくこのような出血がおこります。このような出血の特徴は出血が通常の月経より少なかったり、逆に多量の出血がぐずぐずと長い日数(10日以上)続くことが多いのです。これを機能性子宮出血といいます。このような場合は、ホルモン剤で出血を速やかに止め、排卵を再開させるという根本的な治療が必要です。
子宮や腟に出血の原因がある例
子宮にポリープ、子宮筋腫、あるいは炎症(クラミジア)時に子宮癌などがあるとしばしば不正出血の原因となることがあります。これを器質性出血とよびます。このような出血はきちんとある月経以外に不正出血がよくあります。止血には出血の原因となっている疾患をきちんと治療する必要があります。
以上のように不正出血は上記2つの原因がありますが、これらの出血がそのどちらか、あるいは治療した方がよいかなどは、実際診察してみなければわかりません。逆に診察すればおおむねすぐ診断がつき、また治療も困難ではありません。ですから月経以外の不正出血を繰り返す時はおっくうがらずに気軽に受診することをおすすめします。
月経痛(生理痛)が強い
月経痛(生理痛)が強く、日常生活に支障をきたす場合を月経困難症といいます。腹痛が強いため鎮痛剤が必要であるとか、仕事ができないような場合は月経困難症といってよいでしょう。
よくある月経困難症の症状
腹痛、腰痛、悪心(気持ちがわるくなる)、嘔吐、いわゆる貧血(血液がうすくなっているわけではないがフラフラする。)頭痛、頭重、食欲不振などがよくある症状です。
生理痛(月経困難症)には2種類ある
ホルモンのいたずらによる生理痛(機能性月経困難症)
第1の生理痛ですが、機能性月経困難症とよばれているものです。これは毎月きちんと排卵すると卵巣から2種の女性ホルモン(卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン))が分泌されます。特に黄体ホルモンは子宮内膜という子宮の内側にあり、妊娠しないと剥がれて月経として出血してくる膜に作用し月経痛の原因になります。具体的には子宮内膜の内にプロスタグランディン(Pg)という局所ホルモンを増加させます。このPgが子宮を収縮させて腹痛や腰痛、悪心の原因となるわけです。
子宮内膜症や子宮筋腫などの異常による生理痛(器質性月経困難症)
最近、子宮筋腫は比較的若い人にもみられます。また子宮内膜症は年々増加傾向にあり、20代の前半からよくある病気です。このような病気は月経困難症の原因となります。これを器質的月経困難症といいます。
生理痛がどちらによるものなのかは簡単に診断することができます。
生理痛はがまんしても意味がない!!
よく生理痛に鎮痛剤を服用すると、くせになるとかきかなくなるとかいわれますが、そのようなことは全くありません。生理痛はがまんしても御本人がつらいだけで全く意味がありませんし、痛みを軽くするよう治療しても何の問題もありません。ですから生理痛などで無意味ながまんをしないで、痛みから開放されて快適に過ごしましょう。歯が痛むときじっとがまんしますか?生理痛も同じです。
生理痛(月経困難症)の治療
生理痛を治療するにはまず、その生理痛の原因が先に述べた、ホルモンのいたずらによる機能性月経困難症であるのか、あるいは子宮内膜症や子宮筋腫など子宮や卵巣に異常があるものかを判断します。その上で機能性月経困難症と診断されれば実際の治療法には次のような方法があります。
生活上の工夫
月経の前は骨盤の血流の流れがうっ滯します。これを改善するために適度な運動は有効です。月経の始まる1週間くらい前からジョギング、ウオーキング、スイミングあるいはエアロビクスやもっと簡単な全身の屈伸運動などでも効果があります。
痛み止め(鎮痛剤)の服用
市販のいわゆる鎮痛剤でももちろんかまいません。鎮痛剤を選ぶには痛みの原因となるプロスタグランディンをブロックできる薬(プロスタグランディン合成阻止剤)がより効果的です。当クリニックでは主にボルタレンという薬を処方します。また痛みがかなり強く、早く痛みをとりたいときはボルタレンの坐薬がとても速効性があります。このような鎮痛剤には服用するコツがあります。このコツは早めに服用することです。もうがまんできない程の痛みがきてから服用するより、早めに、あるいは痛みが始まる前に服用してもよい位です。
ピル
機能性月経困難症(特に子宮や卵巣に子宮筋腫や内膜症などがない、通常の生理痛)の原因は、排卵した後、卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)のいたずらであることは既に述べた通りです。ですから逆にこの原因となる黄体ホルモンの分泌を抑えてあげれば生理痛は予防できるはずです。つまり、排卵を一時的にストップしてあげればよいわけです。それにはピルがとても簡単で効果的でしかも安全な方法です。ピルは現在では排卵をストップすることから避妊薬として有名ですが、本来はこのような治療薬として開発されたものです。
ピルで生理痛はどの位軽くなる?
今まで鎮痛剤を服用しなければ過ごせなかった人もほとんどの人が鎮痛剤が必要なくなります。生理中は就寝しなければいけなかった人も、仕事も日常生活も楽に過ごせるようになる方が大部分です。
ピルには他にどんな効果が?
ピルを服用している間は排卵をストップしますので、ほぼ100%の避妊効果があります。また、排卵を抑えますので月経の量もぐっと少なくなります。ですから月経痛と過多月経がある人にピルは最も適しています。また後で述べますが、月経前症候群にも有効です。これは月経の1~2週間前から頭痛、乳房痛、むくみ、悪心、嘔吐などいろいろな身体症状があり、また月経の開始とともにこれらの諸症状が軽くなる病気です。ピルは月経痛だけでなく月経前症候群も軽くすることができます。
その他の薬物療法
漢方剤
昔から女性向けの漢方剤が有効であることが知られています。特に当帰芍薬散や桂皮茯苓丸、加味しょう遥散などが有名です。漢方剤は通常1日3回服用します。
ピル以外のホルモン剤
子宮内膜症による生理痛はピルでかなり痛みが軽くなります。しかし内膜症が進行している人ではピルだけでは痛みが充分コントロールできません。このような人には内膜症そのものを縮小させるGnRHアナログ剤(スプレキュアー、リュープリン、ブセレキュアー)などが必要なことがあります。
生理痛が強い人へのアドバイス
生理痛はがまんしても何の意味もない!!(歯が痛いときがまんするだけですか?)
単なる生理痛と自分で決めつけない!!(生理痛には子宮内膜症などの病気が背景にあることが少なくない)
積極的に治療して快適な生活をしましょう。!!
治療は極く簡単です。どうかおっくうがらずに気軽に当クリニックに御相談下さい。次の月から快適な心安らかな日常生活をとりもどせることをお約束します。








